2011年4月4日 遅ればせながら、「スクール!!」、観ました

スクール!! DVD-BOX遅ればせながら、録画してあった「スクール!!」を一気に観た。私はドラマはたいてい出演者目的で観るものを決めてしまう。よほど興味を引く内容でなければ素通りだ。国内ドラマの場合は、好きな俳優が出ていても観ないことが多い。その点では、このドラマは好きな俳優は全くと言っていいほど出ていない。おそらく江口洋介ファンにとっては久々の主演で熱が入って観ていたのだろう、と想像するが、あえてチェック俳優をあげるなら、世間の評判ではいい俳優と聞いていた桐原先生役の西島秀俊とNHKのドラマ「監査法人」での若さがよかった大橋先生役の塚本高史くらいか…。

まあ、そんな状況でもこのドラマを観ようかな、と思ったのは、我が子が小6でこの春に小学校を卒業したばかりで、しかも今、社会問題にもなっているような困ったチャンクラスだったからだ。
こうした状況に陥ってしまった学校教育、学級運営の問題点はどこにあるのか、私もここ数年間、身近な問題として考えてきたのだが、あまりに原因が複合的で複雑に絡み合っていて「これだ!」というものが掴めない。これは学校だけが悪いのではなく、家庭にも問題はある。そして先生と親だけでなく、この「スクール!!」の中でも江口扮する成瀬校長が言っていたように地域の人々も含め取り組まないと解決できないのかもしれない。

「子育ては地域密着型で」という言葉をこの6年間の小学校生活でよく耳にしてきたが、実際すっかりすたれた住民同士のつながり、あるいは地域の気質というべきなのか恐ろしく排他的な様子の中で、昔のような育児や教育が実現できるのかは甚だ疑問が残った。時代の流れと共に世の中は変化し、生活も人の生き方も変わっていくものだとしても、その中には普遍のものが必ずあるものだと私は思う。

ドラマ「スクール!!」の中では実に現代社会の縮図のような新宮小学校の5年生クラスを中心に民間人校長としてやって来た成瀬校長の奮闘ぶりが描かれる。トンネルの建設工事の現場監督だった彼は教育現場という全く場違いな職場に放り込まれるが異業種に見えるこの2つの職場にも共通点があることをドラマの中で教えてくれる。そして、彼のやり方で一貫しているのは、常にひとりひとりと向き合っているということだ。それは自らと向き合うことでもあると思う。ひとりひとりと向き合い話に耳を傾ける。彼のような先生がいたら!、とドラマを観ていて何度も痛感した。こんな先生がいたら、我が子のクラスも少しは変化があったかもしれない、と。でも、それは教師だけではなく親自身にも言えること。親が子供と向き合うこと、それが一番大事。言うのは簡単だけど、なかなか出来ないのが現実。

我が子のクラスは、ドラマのクラスと本当に同じだった。問題の内容やケースは違っても本質は同じ。大人が子供を見ていない。子供が置き去り、大人のやっているのことは空回り。それを知ってか知らずか、ただ進むのみ。この「進む」は前進ではない。とにかく時間が過ぎるのを待つだけのことだから、正確には進むではなくて、待機? 大人が人と向き合えないのだから、子供と向き合えるはずもないのだ。私自身は残念ながら、成瀬校長のようになるにはまだまだ達観出来ていない部分が多すぎて人生の修行が足りない、と言わざるを得ない。こうした問題では成瀬校長のような存在はきっと大きい。

親がそうなれればいいけど、簡単なことではないだろう。人を育てることは、自分も成長しなくてはいけないことと同義語だ。育児は終わりがない。みな気軽に始めるけど、覚悟が必要。最初はなくても少なくとも子供と一緒に自分の覚悟も育てていかなくてはいけないものなのだ、きっと。人と向き合える大人に子供達を育てなくては、今後も問題は解決されないんだろう。

数々の不幸やついてないことを乗り越えて逞しく生きる成瀬校長のその後の姿が気になる。久々にまた見たくなったドラマだった。ちなみに彼に影響を大いに受けた桐島先生、大橋先生のいる新宮小学校のその後もスペシャル版なんかで作ってくれれば、絶対観るのになあ、なんて、ちょっとミーハーになってみたりもしたのであった。

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