クローサー・ユー・ゲット

The Closer you get 2000年 イギリス作品
監督:アイリーン・リッチー
出演:イアン・ハート(キーラン役)、ショーン・マッギンレイ(イアン役)、ニーアム・キューザック(ケイト役)、ユアン・スチュアート(パット役)、ショーン・マクドノー(ショーン役)、キャスリーン・ブラッドレー(シボーン役)、パット・ショート(オリー役)、ルース・マッケイブ


「フル・モンティ」でヒットを飛ばしたプロデューサー、ウベルト・バゾリーニの作品。と言う事で見終わった後に納得してしまった映画だが、華やかさとか大事件とかいったものはないものの、妙にひきつける、それはよく出来た脚本や演出家の腕だけではなく、俳優の手堅い演技力によるものも大きいといつも実感するのが英国映画の特徴だ。この映画もそれにもれない。特別有名な俳優ではないけど、見せてくれる英国人俳優の層の厚さを毎度毎度感じさせられてしまうのだ。

さて、アイルランドの自然が背景のこの映画のお話はその片田舎での出来事だ。肉屋を営む青年キーランは、兄のイアンと共に仕事の後に行きつけのパブで友人達と飲むのが楽しみだ。いい年をした男達が集まって酒を飲む、ここにはそんな楽しみしかない。村では葬式はあっても結婚式はここ数年ないのだ。いつも彼らは「いい女はみんな都会行ってしまって、残っているのはカスばかりだ」とぼやいている。

そんな時、定例の教会での水曜の説教のあとの映画、「十戒」のはずが、かかったのは「テン」。ナイスバディの女優ボー・デレクの水着姿やTシャツ姿がスクリーンに映し出された。映画は中止になったが、キーランたちの胸に焼きついたボー・デレクは頭から離れない。そして、ついに行動を起こした。村恒例の聖マルタ祭のダンス・パーティにアメリカ女性を招待するべく、マイアミのヘラルド紙に「女性募集」の広告を出したのだ。果たして彼らはアメリカのピチピチギャルをGET出来るのか?

祭の日までの彼らの様子が、行きつけのパブの経営者夫婦パットとケイト(彼らの中は冷え切っていて離婚寸前)やキーランの友人ショーンの母親やキーランの肉屋に勤めるシボーンといった村の女性と共に描かれる。嫁不足に悩む田舎の青年の必死の作戦、とは言え、悲壮感は漂っていない。少々彼らは焦っているけれど、かと言ってがっついているわけでもない。彼らの行動は妙に可愛らしいのだ。それぞれの男達の事情や気持ちを時には滑稽に、また時には真剣に描いている。

対する女達もしたたかだ。村に残っている自分達を卑下することもなく、やけになっているわけでもない。でしゃばってもいないし、その淡々とした日常をさらりと見せている。

このありふれた数日の中で印象的なのは、若き牧師の言葉。「テン」がかかって慌てた彼も深夜一人でこの映画を見ていたりするのだが、彼女を獲得しようとハッスルする男達にスーツを買うときのことを例にあげて説教する。こういったあたりが英国映画だなあーと実感してしまった。夢見て頑張るのもいいけど、幸せはもっと近くにあるよ、で終わるこの映画、最後のオチにはニヤリとするはず。

キーランを演じたイアン・ハートは出演者の中でも一番メジャーな俳優。「マイケル・コリンズ」、「バック・ビート」、「自由と大地」、「ナッシング・パーソナル」などにも出演しており、今後注目株と言えそう。(2002/06/17)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です