Theater 5418では女性の生き方を描く映画や海外ドラマ、興味深い歴史上の女性をジャンルを問わず紹介(不定期) どうぞ、お楽しみください

「インポッシブル」

「インポッシブル」(THE IMPOSSIBLE/LO IMPOSIBLE 2012年スペイン/アメリカ作品)

  • 監督:J・A・バヨナ
  • 原作:マーティン・シックススミス
  • 出演:ユアン・マクレガー(ヘンリー役)、ナオミ・ワッツ(マリア役)、トム・ホランド(長男ルーカス役)、ジェラルディン・チャップリン(老婆役)、サミュエル・ジョスリントマス役)、オークリー・ペンダーガスト(サイモン役)

     公開映画紹介としてトップページで紹介した時にもこのスマトラ沖地震による津波被害を扱ったテレビドラマでティム・ロスの「TUNAMI 津波」のことを書いたが、これがまた津波シーンが強烈で、この「インポッシブル」も同様のリアルさに観ていても息苦しくなるような思いだった。実体験を持つ人にとっては、冷静に観られるようになるまで時間はかかるかもしれない。それだけに確かに引き込まれる作品でもある。
     大怪我を負った母親マリアと、その母を今度は支える立場になった長男ルーカス。怪我はたいしたことはなかったものの、幼い息子二人を人に預けて妻と長男を探す決意をする父親ヘンリー。混乱する被災現場で、しかもそこはよく知る地元ではなく外国の観光地という見知らぬ土地、誰もが自分のことで必死の状況の中、家族は再会できるのか。当然、ヤキモキするシーンばかりである。現場の混乱状態は前出の「TUNAMI 津波」でも描かれていたが、この作品では病院の中での混乱状態がなかなかリアルで自分が当事者になった時、助かるのか悩ましかった。それは現地の状態の良し悪しだけじゃなく、やっぱり外国に行く時は英語ができなきゃダメだ、なんて真面目に再認識してしまったのだ。ああ、情けない‥‥。
     印象に残るシーンは津波の場面だけでなく、その後、助けを求めて歩く母子が途中で小さな泣き声に気づいて幼子を救うシーン。かなりの大怪我を負っているマリアは見知らぬ顔をできずに助けて慰める。医師という職業上の部分、母親としての母性が彼女を動かしたのだろう。「もし、これが息子だったら‥。誰かが助けてくれるだろうか? いや、見知らぬ誰かが助けてくれてるかも」。ルーカスも弟二人のことが頭をかすめたに違いない。だが、それだけでないことは、何とかたどり着いた避難所のシーンで垣間見ることが出来る。重傷の母親マリアは、軽傷ですんだ息子ルーカスに避難所の病院で苦しんでいる人、困っている人たちを助けてあげて、と言うのだ。あの状況でそういう判断はおそらくなかなか出来ない。内心は離ればなれになった夫や下の息子の身も気がかりなはず。ルーカスも小さな子供ではないとはいえ、まだ大人の手が必要な少年だ。
     このルーカスの成長ぶりも見所の一つだ。こうした危機的状況は子供を大人に変えることを実感してしまう。そして、そのルーカスと弟たちとの避難所での再会シーンが泣かせる場面でもある。大勢の人がごった返し、皆家族の消息を求め必死の状況の中、すれ違ってもおかしくない、気づかなくても当然と思える再会劇。そこには神の御業とも、ルーカスの弟やお父さんを見つける、という強い意志のなせる技とも見えてくる。こんな時にいつも私が感じるのは、「最後は自分の直感を信じろ」ということだ。どんなに変に思えることも、普段ならそんなことはしないと感じるのは自分でも直感がそういうのなら、そこに道はあると言っているのではないかと。
     こうしたパニック映画では俳優たちの苦労が伺えるものだが、それ以上にルーカスの冒頭でのシーンとラストでのシーンの印象の違いには驚く。子役と動物にはかなわないとよく聞くけれど、これまた痛感した映画であった(2017/12/22)

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