Theater 5418では女性の生き方を描く映画や海外ドラマ、興味深い歴史上の女性をジャンルを問わず紹介(不定期) どうぞ、お楽しみください

ポネット

ポネット」(原題:Ponette)1996年 仏

  • 監督:ジャック・ドワイヨン
  • 出演:ビクトワール・ティビソン、デルフィーヌ・シルツ、マリー・トランティニアン
     
     公開当時、主人公のビクトワール・ティビソンの演技が注目されたことは今も記憶に新しい人も多いと思います。演技とは思えないと絶賛され,母の死を理解できない少女ポネットの、母の死を受け入れるまでの日々を描いて涙の嵐という噂でした。こうしたお涙ものは、私は本当は苦手なのですが、この作品はロードショー当時、観てみたいと思った作品。宣伝やチラシのポネットの愛らしい姿が、そう思わせたのかもしれません。
     母とともに車での交通事故に遭い、自らは腕を骨折。そして母は死亡という哀しい出来事に向きあわなければならないポネット。母の葬儀のあと、父も仕事のためポネットを親類の家に預けて都会へと戻っていきます。学校が始まるまでの間、いとこ達のいるこの家で過ごすのです。季節は冬。寂れた冬枯れの景色が、ポネットの悲しみと重なるかのようにも思えます。母が恋しい彼女には、また会えるという気持ちが消え去りません。おばさんの優しい言葉も右から左へと抜けて行くだけ。
     寄宿制の学校が始まってポネットはいとこ達と学校での共同生活を始めますが、「神の子」だという一風変わった女の子と親しくなり、ポネットもその試験を受けると言い出します。大人から見れば子供だましのものですが、彼女らは真剣そのもの。そんな生活の中、ついにポネットは母親とその墓で再会を果たすのです。
     この映画は、あまりにちいさい子供が母親の死を理解できずに会いたがる話と聞いていましたが、映画を観て私には「母親の死と向き合うことが出来た少女の転機を描く映画」に見えました。確かに「死ぬ」ということがどういうことなのか、ポネットにはわかっていなかったのでしょう。けれど、それを正しく理解し、子供に説明することの出来る大人がどのくらいいるのだろうか、と私は思います。果たして自分は我が子に納得のいく説明が出来るのか?
     墓でポネットの前に現れた母親は(多分これは幽霊なのでしょうけど)、娘に自分がもうこの世の人間ではないことを話して聞かせます。自分なりに納得したポネットは、週末で学校に迎えに来てくれた父と共に、まるでこれから二人で頑張ろうねと言わん ばかりの顔で学校を去っていくのです。
     この映画は、私に「死」を子供にどう伝えるのか、考えさせた映画でした。もし、まだ独身で子供を持っていなかったら、違う感じ方をしたかも知れません。明日訪れるかも知れない自分の死がどんなものか考えるより、母親である自分の死を子供に正しく教えることの難しさを痛感せずにはいられないラストだったと言えます。子供時代に身近な人の死を経験した人は、そうでない人とはちょっと違う大人になるんじゃないかと、そんな風にも感じた映画でした。

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