宝塚 月組公演レポート 2012年3月

「エドワード8世 王冠を賭けた恋」

長年、観たいと思っていた宝塚の舞台をついに観に行った。なんと妹が最前列のチケットを2枚、抽選で当てたのだ。一度は観てみたい宝塚。今回は月組の「エドワード8世 王冠を賭けた恋」と「Misty Station 霧の終着駅」というショーの二本立て。トップスターで主演を演じる霧矢大夢と相手役の蒼乃夕妃はこの舞台で引退とのこと。そういう意味では気合いの入った舞台になるだろうとの期待通り、そして人から聞いていた通り、素晴らしい舞台だった。ファンの人達の様子などを今までテレビで観るたびに、その熱狂ぶりには理解を超えたものがあると感じたりもしていたものの、実際に舞台を観てしまうと「そうとも言えない」なんて気持ちにも……。そのくらい迫力もあり、美しく圧倒させるものがあった。

 映画と違う魅力がたっぷりの舞台は、もともと好きだったけれど、やはり宝塚はすごい! 娘役のかわいらしさ、美しさはもとより、男役スターの人気も十分納得してしまうほど、かっこいい。女がそう言うのは変かも知れないけど、本当にかっこいい。それはきっと、女が望む男のかっこよさや強さや優しさをよく理解しているのは女だからこそ、だからかっこいい男を演じることが出来るのではないか、と思ってしまった。そして、これはアルメイダ劇場の舞台を観たときのレポートでも書いたが、演じている役者全員の姿勢がいいこと、トップスターは体自体は大柄ではなくてもそこに立つと非常に存在感あふれる大きな人物に見えてくることが、大事なんだろう、と今回も実感したことだった。

さて、演目は、というと、「エドワード8世 王冠を賭けた恋」は、ご存じの愛する女性のために王座を退いたエドワード8世(デイビッド)とシンプソン夫人のお話。あまりにも有名なこのエピソード。どんな風に描くのかも興味津々だが、なかなかよくまとまっていたと思う。以前、エドワード8世はシンプソン夫人の自分の意見をストレートにぶつけてくるところに惹かれた(それまでの周囲にいる人達はそうではなかったため)、と何かで読んだが、そんな話も含んでいたかのような設定になっていた。

ただ、映画でもそうだし、新聞にも書かれていたが、こうした歴史を題材した作品は登場人物が多く、その関係や背景を理解するのが大変である点は確かに感じた。予備知識として知っていれば、よりすんなりと舞台に入っていくことが出来るし楽しめることは請け合いだ(パンフレットを購入して、観劇前に読んでおくと、配役も含めわかったらしい。私たちは買わなかった)。

とは言うものの、タカラジェンヌ達の素晴らしさは大いに認められるべきところだろう。これだけ見せてくれる女優達が、宝塚を退団した後、エンターテイメント業界で活躍するのは、どのくらいの人達なんだろうか? 多くの元タカラジェンヌ達が普通の生活に戻ってしまっているとしたら、本当にもったいない。そんなことが気になった舞台だった。また、機会があったら是非観に行きたい。

 会場には、右の様な冊子も置いてあった。オールカラーだが無料だ。中には公演中の舞台やこれからの舞台についての簡単な説明、インタビュー、DVD情報や宝塚のテレビチャンネルの番組表なんかも載っている。きっと、パンフレットを買った方が、公演を十二分に楽しめるのだろうとは思うが、この小冊子も読み応えはある。

公演の途中の休憩時間には、抽選会もあった。今回、私が座った最前列中央の席のチケットとスター達のサイン色紙が貰えるというものだ。私たちは今回はハズレ。まあ、それもしかたない。かぶりつきのこんないい席で舞台を堪能させて貰ったのだから。この十分なファンサービス、これも宝塚人気の一つかなあ、なんて感じた一日であった。(2012/4/12:2019/04/10更新)