パーソン・オブ・インタレスト犯罪予知ユニット①

PERSON OF INTEREST 2012~2016年 アメリカ

このドラマについて
9.11のテロ事件以降に政府がこうしたテロ行為や凶悪犯罪を阻止することを目的に、あらゆることを監視するシステムを使うことを考え、その開発に携わったコンピュータの天才ハロルド・フィンチと、彼の手となり足となり、危険を阻止する元CIAのジョン・リースの活躍のドラマ。当然、アクションものであるのだが、二人の謎めいた過去とトラウマ(そして、その深い傷は癒えるのか)がどう係わってくるのか、といったあたりも見所と言える。そして、強引にチームに参加させらる刑事のファスコ、弱みを握られているがゆえにハロルドの言いなりになるしかない。ただの浮浪者と言い張るジョンを怪しむ女刑事カーターの見張りをするためにコンビにさせられ、仕事をしながらいやいや彼女を監視する。カーターの追跡をかわしながら、ハロルドが開発したマシーンと呼ぶ監視システムを使って、命の危機にさらされている一般の人々を救う仕事が始まるのだ。

マシーンとは…ハロルドが開発した監視システム。ビジネスパートナーであり、大企業の社長でもあった親友ネイサンが秘密裏に政府と交渉して、このシステムの完成後にテロを未然に防ぎたいという政府に1ドルで売り渡す。そのありかはハロルドもネイサンも知らされていない。本来はハロルド達にはもうアクセスできないはずのマシーンだったが、ネイサンはバッグドアを作っておき、自分がアクセスできるようにしていた。それは、事件に係わっている人物を個人の持つ社会保障番号をはじき出すことにより、告知するのだが、その事件が重大なテロでなかった場合、政府は無視するため、一般市民が犠牲になるのをそのまま見ていられないという気持ちからだった。だが、ネイサンは事故で死亡。その遺志をハロルドが継ぐことに。

HRとは…警察内部に存在する悪徳警官の犯罪集団。自分たちに都合の悪いことは隠蔽し、賄賂もあり、恐喝もあり、麻薬密売など、あらゆる犯罪に手を染めて資金集めをしている。ファスコもその警官達の一人であった。黒幕が誰なのかはわかっていない。


最初はそれほど興味もなかったのだが、見始めたら結構のめり込む番組。謎やマシーンが告げた番号の人物に近づく方法なども面白いのだが、時々展開するハロルドとジョンの皮肉の掛け合いがまた面白い。
ハロルドは、天才で大金持ちだが、天才にありがちな変人ぽいところもあり、大金持ちにありがちな細部へのこだわりやお金のかけよう、といったあたりは、平均的な人々とはかけ離れた印象である。外見も眼鏡をかけた足の悪いおじさん風で、ある意味オタクっぽい。ハンサムではないが、いつもきちんとしていて仕立てのいい高そうなスーツを着ているハロルドは、礼儀正しく、言葉遣いも丁寧だ。

一方、ジョンはスリムな長身でハンサムだが、身なりに気を遣っているとは言えず、いつも白いワイシャツに黒のスーツ。態度もぶっきらぼうで冷たい印象。寡黙だが、時に皮肉も言い、格闘技、銃の腕前は超一流。とこのあたりは、90年代のスパイドラマ「シークレット・アイズ~華麗なる作戦」を思い出させる(マイナーで知られていないかも? 主役のカールトン・ダイヤルを演じたマーク・フランケルはジェームズ・ボンド風のスパイでかっこよかった。今はどうしているのかな? とIMdbを見たら、1996年に交通事故で亡くなっていたようです。残念!)。

ジョンはその悲しい過去故に、自分はもう何も失うものはないし、必要なものもない、と全く執着するものがない。だが、ハロルドにも秘密はあり、それを誰にも語らない。二人とも違うタイプでありながら、共に孤独が好きで皮肉屋。結局、似たもの同士? いいコンビとも言える。

また脇役が面白い。最初の登場では悪徳警官のファスコは、これまでの悪事ぶりが暴露されないためにジョンに強引に協力させられることになる。内部の情報を教えたり、時にはジョンを手伝うことも。そして、警察内部に存在する悪徳集団HRの壊滅に向けて、組織を抜けたいファスコにそのまま潜入し続けるように命じる。

もう一人は逆に正義のためにいきているような女刑事カーター。事件の捜査中にあちこちで出現するジョン、通称スーツの男、を追跡したことが、二人と係わることになってしまう。フィンチは彼女を見張るためにファスコを転属させる。

そして、ファスコとジョン。最初は脅される者と脅かす者といった構図だが、次第にファスコも二人のやっていることに協力するのを嫌でなくなるのがわかる。ファスコとジョンの会話も(多くは電話での会話だが)も楽しい。

犯罪を未然に防ぐ。それを聞くと映画「マイノリティ・リポート」を思い出すが、映画が未来的なのに対し、こちらはもう少し現代に近い。というか、実際こんなことがあってもおかしくないかも、と思う。いや、現実にハロルドとジョンのやっているようなことが出来るのかは確かではないが、これだけコンピュータが発展し、誰もがインターネットを使っていて、すべての資料がデータ化しているとすれば、マシーンの実行していることが可能かも、とも思えてくるのだ。まあ、それはさておき、やはりドラマとしてジョンとハロルドの活躍を単純に愉しむのがおすすめ。第2シーズンから登場し、ペットとなる犬のベアーがすごく可愛いです。飼いたい!(2014/06/30)

追記:最初のUP時は、ドラマは進行中でしたので、今回の更新で内容を少し訂正しました。
この番組は2016年の第5シリーズで終了しました。ハロルドとジョンというコンビ、そして、刑事のファスコと途中から仲間に加わる女性、ルートとサミーンといったチームでの活動は、とても面白かったのだが、アクションの長寿シリーズにありがちな陰謀が大きくなりすぎて、後半は謎や陰謀の真相を知りたいという気持ちの上では番組を観たいものの、単純に事件を解決する面白さといった意味では、やや消化不良気味に。当然、政府がらみの大掛かりな陰謀を阻止するといった展開になり、チームは消滅というラストに。うーん、仕方ないとは思うものの、面白かっただけに残念!(2019/08/12)

パーソン・オブ・インタレスト犯罪予知ユニット②出演者とキャストについて