モンテクリスト伯

Le Comte de Monte Cristo (1998年) 仏・独・伊
監督:ジョゼ・ダヤン   原作:アレクサンドル・デュマ
出演:ジェラール・ドパルデュー(セルジュ・ルビーニ、ロラン・ブランシュ、クリストファー・トムプソン、スタニスラス・メラール、ギョーム・ドパルデュー、ジャン・ロシュフォール他

このドラマについて
モンテ・クリスト伯 [DVD] フランスだけでなく、世界中で有名なデュマ原作のドラマ化。日本でも「厳窟王」としてよく知られています。私は原作は読んでいなかったので、どんな冒険が待ち受けているのやら、と期待に満ちてスイッチオン。今回主人公のモンテクリスト伯を演じるのは、日本でもすっかりお馴染みのジェレラール・ドパルデュー。当サイトで紹介の「仮面の男」では、私のイメージぴったりのポルトス役を見せてくれた彼。七変化ならぬ4役演じ分けはなかなかの見物。

感想
モンテ・クリスト伯 7冊美装ケースセット (岩波文庫)心優しい航海士のエドモンは親友達の裏切り行為によってぬれぎぬをきせられ、終身刑を言い渡されます。言われなき身に覚えのない罪。エドモンの心はすさみ憎しみで満たされ、復讐することのみが生きる支えの男へ変わってしまいます。

人は本当に憎悪と悲しみと喪失感だけで生きていけるものなのか。意志や決意の固さとは、そうした負の力によってしか保てないものなのか。人の生きる力とは決して喜びや楽しみだけで産み出されるものではないだろうけれど、あまりに深い喪失感から陥る絶望に身をゆだねてしまうことは、もう救いようのない選択なのかも知れません。

モンテクリスト伯となったエドモンは、カミーユという美しい未亡人と知り合い、ラストには彼女によって「許すこと」を受け入れようと決心します。一番難しいことを自らに課すことが出来る強さは、やはり自分の中にある真実の心と向き合い、その深さを認めた時にしか産まれてこないものではないでしょうか。

エドモンにしても、カミーユにしても、そしてかつてのエドモンのフィアンセ、メルセデスにしても、きっと同じことだったのでしょう。壮大なストーリーで活劇的に繰り広げられる展開の楽しさを味わいつつ、そんなことを感じた4回の放送でした。

ところで、私がチェックしたかった俳優はズバリ、エドモンの真の親友となる男ベルトゥッチオを演じたセルジュ・ルビーニ。この手の濃い顔は本当は苦手なのですが、役所のうまみがプラスしてか気になる存在でした。

それからエドモンが復讐を誓うヴィルフォール検事の一人娘ヴァンテーヌ(この役のジュリー・ドパルデューは、ジェラールの実の娘なのか???)を愛する青年実業家マクシミリアン役のクリストファー・トムプソン、メルセデスとエドモンの親友であったモンセール伯(演じるは「パリ空港の人々」で味な中年男を飄々と見せてくれたジャン・ロシュフォール)との間に産まれたアルベール役のスタニスラス・メラール。この2人はどこがで観た記憶があるのについに思い出せませんでした。知ってる人がいたら教えて!!!

そして日本でも「めぐり逢う朝」で一躍その名を知られたジェラールの息子ギョーム・ドパルデュー。彼が若きダンテスの役で出演し、その美男ぶりの健在を披露していたのが印象的でした。


アレクサンドル・デュマに関しては緑さんの「Midori’s Room」でも詳しく紹介されています。作家の年表や映画化・ドラマ化された作品について見ることが出来ます。その他の作家もたくさんあるので 是非見て下さいね。