レジェンド・オブ・エジプト

Cleopatra (1999年) 独、米
監督:フランク・ロッダム
原作:マーガレット・ジョージ 脚本:スティーブン・ハリガン
出演:ティモシー・ダルトン(シーザー役)、ビリー・ゼイン(アントニー役)、ルパート・グレーブス(オクタヴィアン役)、レオノラ・バレラ(クレオパトラ役)、ブルース・ペイン(カシウス役)、ショーン・パトウィー(ブルートス役)ほか
テレビ放送されたときには、「クレオパトラ」という題名だったと思うのだが、検索したら、このタイトルになっていたので、こちらで載せました。

感想
レジェンド・オブ・エジプト [DVD] クレオパトラ役の女優は大女優ではないが、共演のティモシー・ダルトン、ビリー・ゼイン、ルパートー・グレーブスとおなじみの俳優が共演ですんなりドラマに入れた。クレオパトラは歴史上では私のあまり好きな女性ではないため、有名なリズが演じた映画の方も見ていないが、このドラマで彼女の人生を見ていて、やはり名を残す女性(特に政治がらみで)は強いものがあるなあ、と実感する。

クレオパトラはエジプトの女王にして女神イシスの娘と名乗っており、その堂々たる態度は周囲に威圧感さえ与える。自らを信じるその心の強さ、判断力、行動力共に普通の女性を超えている。だからこそ、現代まで多くの人々にその名を知らしめ、魅了し、映画やドラマにもなるのだろう。

クレオパトラに翻弄されるカエサルとアントニウスは、彼女の謎めいた美しさに、そしてまた勇敢な姿に魅せられ世界制服の夢を抱く男。だが、カエサルはブルートスに暗殺され、アントニウスは戦さで重傷を負い死ぬ。二人の共通した最期がクレオパトラという女性を象徴しているようにも思えるが、彼女ほどの強さを持つ女はひとりで生きていく運命なのではないか?と感じてしまう。

ラストは自らの死で終わっているが、その死もオクタビアヌスとの戦いに敗れ、彼と共にローマに行かねばならないその状況を拒んでのものだった。自分の尊厳を保つことはエジプトの尊厳を保つことでもある、と信じる彼女の決断に迷いはない。

追憶のクレオパトラ〈1〉ナイルの目醒め 本当にこんな女性がいたのか、と考えてしまう。今となっては歴史の詳細な真実は確かめようもないけど。気になったのはクレオパトラとカエサルの子供の行方だ。オクタビアヌスが攻めてきたとき、信頼する家来が子供を連れてエジプトから逃れていくが、その子供はその後どうなったのだろう? 宿命の子供として注目されるであろう彼のその後の人生はやはり気がかりだ。

俳優三人はちょっと意外なキャスティングではあったが、心配以上にその姿が似合っていた。特にオクタビアヌス役のルパートは、その甘いぼっちゃん顔の二枚目的な印象が策略家など似合わないようにも思うが、後半では驚くくらいの冷徹ぶりを見せつけ、彼の演技力の確かさを再確認させたところ。

ROME[ローマ]ブルーレイ コンプリート・ボックス(10枚組) [Blu-ray] この作品は1999年のものであるが、近年では2005年にイギリス・アメリカで製作され、日本では2007年にWOWOWで放送された「ROMAローマ」でも、彼らの人生を劇的に描いていた。こちらは主役はケヴィン・マクキッド演じるルキウス、レイ・スティーヴィンソン演じるプッロのふたりの目を通して描かれるローマ時代とあって、ドラマの流れの中でクレオパトラは登場するが、「レジェンド・オブ・エジプト」ではさらりと描かれていたオクタビアヌスの家庭や背景も見せて後半の冷徹な男に成長する繊細な青年の人生も見ることができる。