魍魎の匣 アニメ

原作:京極夏彦   監督:中村亮介
声の出演:平田広明(中禅寺秋彦役)、森川智之(榎木津礼二郎役)、木内秀信(関口巽役)、関貴昭(木場修太郎役)、桑島法子(中禅寺敦子役:中禅寺の妹)、久川綾(柚木陽子役:芸名は美波絹子)、諏訪部順一(青木文蔵役)、高橋美佳子(楠木頼子役)、戸松遥(柚木加菜子役)、田中正彦(美馬坂幸四郎役)

遅ればせながら、アニメと映画の両方を見た。しかし、原作は読んでいない。出版された当時からファンであった私の友人が好きな作家、京極夏彦の作品であり、話題にもなっていた。私も読んでみたいと思っていたのだが、その気持ちのまま時は過ぎた。この作品は、憑き物落としと古本屋(京極堂)を生業にする中禅寺秋彦(店の屋号で呼ばれている)が主人公のミステリーでもある。観察眼に長けている彼は周囲の人間の(どうやら大学の同期や先輩・後輩らしい)の話を聞いて事件の謎を推理し、解決へと導くのだ。アニメ化作品、映画化作品を見た今、原作を読んでいなかったからこそ鑑賞できた、という思いと同時に原作を読みたい、という強烈な熱望のような思いとが入り混じった複雑な気持ちだ。

さて、映画版の方でも書いたように、このアニメのほうがおそらく原作に近いものと思われる。アニメは13回の連載となっており、映画では描けなかった人間関係も、またその人物の心理的な状況もわかるので、「あれ、どうしてこうなっちゃったかな?」という想像しなければならない部分はかなり少ない。

映画のストーリーやキャラクターは原作との変更点もあるようで、関口の印象はだいぶ違う。アニメ版はだいぶ人との関わりが苦手な人物のようで(今風に言うとコミュ障? メンヘラとかいうものか?)、作家なのでいいのかもしれないけど、神経質にあれこれと悩んでいる男のように見える。このキャラが原作通りなのかはわからないが、一本気な感じの木場、ややチャラい(この時代設定の中では)感じの榎木津、浮世離れした感じの京極堂、とそれぞれのキャラの違いがまた際立って面白い。

そして、加菜子と頼子の様子も映画版よりも詳しく描かれているので、ストーリーの流れとしてはわかりやすい。そこは、陽子や雨宮や増岡(映画版では影が薄かったが弁護士)との微妙な関係や怪しげな御筥様を祀る宗教の教主と久保とのつながりなどなど、映画版と違ってやはり時間をかけての説明は物語には入りやすい点だと思う。

基本の部分は変わらないので、私の感想としては映画もアニメも同じ。ただラストが違うので観る人によってはどっちがいいかは分かれそう。私はアニメ版のラストの方がしっくりきたかなあ、というかこの方が一見複雑だけど、根底では同じ所と思えるこの事件の落とし所としては当然かと感じるラストでもありました。(2024/5/28)

映画版はこちら

目次へ戻る

映画

前の記事

魍魎の匣