アメリカン・クライム

AMERICAN CRIME 2015年 アメリカ

ドラマについて
既にアメリカでは第2シーズンの放送もあり、次なる第3シーズンも予定されているというこの作品、本国ではかなり視聴率の取れている番組なのだろう。第2、第3シーズンは、出演者は同じ俳優たちだが、第1シーズンの続きの内容はなく、役柄も別だと言うこと。第1シーズンの内容の重さを考えると続編も同様と思われるが、アメリカの複雑な問題をドラマで見せてくれる点では、日本人にもわかりやすい(アメリカの抱える問題を知る、という意味で)と言えるかもしれない。いろいろ考えさせられる点は多いが、楽しく観られる内容ではないことを思うと、気分が落ち込んでいるときに観るのには適さないかも?

あらすじ
警察から、長男夫婦が強盗にあい、息子は死亡、その妻は重体に陥っていると連絡を受けた父親ラスは、遺体確認へと向かう。彼は息子たちが子供だった頃、ギャンブル依存症になり、家庭崩壊になった挙句、強盗までして服役。離婚して一人で暮らしていたが、今では長男とは電話で様々な話をするまでに親子関係は回復していた。幸せそうに見えた長男夫婦に一体何が?


主演の一人ティモシーハットン目当てで観たのであるが、かなりの駄目男ぶりに、う~ん。まあ、彼はどんな役もうまいので、それだけに「こんな駄目なティモシーは見たくない!」なんて気持ちにもなり、複雑……。

ティモシー演じるラスはこの事件で息子夫婦の知らなかった部分を知ることになる。元妻のバーブとはずっと上手くいってないし、嫁の両親とも良好とは言い難い。 再び直面する苦境をどう乗り越えるのか。家族の絆は?

強盗殺人に見えた事件も、人種や移民問題が絡み、複雑であることが次第に見えてくる。複雑なのはこれらの問題だけでなく、かなり前から言われていた「家族」のあり方や関係も、である。ラスたちの家族、ラスの長男マットの嫁であるグウェンの家族、殺人事件の容疑者の一人なるメキシコ移民のトニーの家族、事件の鍵を握ると思われる黒人カーターと恋人のオーブリーのそれぞれの家族と様々な家族の形が描かれアメリカの複雑さが浮き彫りにされていく。

悲劇の事件をきっかけに家族が壊れた絆、心に負った深い傷がともに再生されていくのか、とファミリーの再生ドラマのような期待を想像すると後半からラストのどんでん返しにやや面食らう。いや逆にそれが現実と思う部分もあるものの、努力は報われるのか? と考えてしまう面もある。一人ひとりが頑張っても、ずれた歯車は元に戻れないということだろうか。

各自の本音をさらけ出しぶつけた家族が希望を見出したかのような最後だった。主人公家族もずっと家族と距離を置いていた次男が、母親とやり直せそうな雰囲気を残した駐車場でのラストシーンだったが、なんともやるせいない作品。

日本はこれまで欧米先進国の10年後を追っていると言われていた。アメリカのドラマや映画でよく取り上げられているドラックやアルコール依存症、メンタル面でのカウンセリングや離婚再婚を繰り返す夫婦の作るの家庭の問題、銃や武器の所持、そこかしこにある暴力、そして移民問題。近くにはあるが、実際外国のように自分の関わる問題をであることは少なかった。
だが、現在ではもう遠い先の話ではない。明日わが身に降りかかってもおかしくないのだ。この話がアメリカの話、と簡単に割り切って観るだけで終われるのだろうか?

ネタバレになったら、これから観る人にはがっかりなのでこれ以上ストーリーについては書かないが、駄目お父さんであり、頼りない夫を演じたティモシー・ハットン。これはこれでやはり彼のうまさを実感したのだが、ファンのひとりとしては、せめて「レバレッジ」くらいの駄目男役くらいにしてほしかったなあ。なんてね、思ったのであった。

女優陣は、というと最近はやはりバーブを演じたフェリシティ・ハフマンがよく知られてているのかもしれないが、私の目を引いたのはグウェンの母親役のペネロープ・アン・ミラー。若い頃のまま年を重ねた、って言葉がぴったりの印象。このところ観ないなあと思っていたけど、ちゃんと活躍していたんだなあ、とおかしいけど何だか安心。カーターの姉を演じたレジーナ・キングはさまざまな作品で活躍している女優(このサイトでは「24」シーズン4を紹介)で今後も大いに期待できる女優、注目はカーターの恋人オーブリーを演じたケイトリン・ジェラードだろうか?(2017/10/15)


出演とキャスト
フェリシティ・ハフマン(ラスの元妻バーブ・ハンロン役)
ティモシー・ハットン(ラス・スコーキー役)
Starlight cafe
デヴィッド・ホフリン(ラスとバーブの次男マーク・スコーキー役)
W・アール・ブラウン(マットの妻グウェンの父親トム・カーリン役)
ペネロープ・アン・ミラー(マットの妻グウェンの母親イヴ・カーリン役)
ベニート・マルティネス(メキシコからの移民者でトニーの父親アロンゾ・グティエレス役)
ジョニー・オルティス(アロンゾの息子で殺人事件に巻き込まれるトニー・グティエレス役)
グリーンディリス・イノア(トニーの姉ジェニー・グティエレス役)
リチャード・カブラル(メキシコからの不法移民者でありマット殺害容疑者の一人ヘクター・トンツ役)
ケイトリン・ジェラード(カーターの恋人オーブリー・テイラー役)
エルヴィス・ノラスコ(ドラッグ中毒の黒人カーター・ニックス役)
レジーナ・キング(カーターの姉アリーヤ・シャディード (ドリーン・ニックス)役)

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