一言感想コーナー

ここには、以前、友人に紹介した作品の一言感想を載せています。いずれ、正式に「Cinema Library」に載せたい映画ばかりですが、今の所はまだできていません。特別な映画ファンというわけではない友人への紹介だったので、私好みも入れつつ、手に取りやすものをピックアップしています。参考になれば嬉しいですね。

味わい深いヒューマンドラマ
「インディアン・ランナー」(1991年)米 The Indian Runner

監督:ショーン・ペン   出演: デビッド・モース、ヴィゴー・モーテンセン、ヴァレリア・ゴリノ
ハリウッドの問題児的存在だったショーン・ペンの第一回監督作品。保安官の兄とベトナム戦争から戻ったチンピラの弟の人生を描いたもので、あまり明るいテーマではないが、考えさせられ心に残る作品。主演の二人は今やスターとも言える俳優になったが、この当時はほとんど無名。脇をチャールズ・ブロンソンやデニス・ホッパーが固め、共演女優のヴァレリア・ゴリノやパトリシア・アークウェト(当サイトでは海外ドラマ「ミディアム霊能者アリソン・デュボア」を紹介)も今やスターの仲間入りを果たした。出演者を見るだけでも一見の価値あり。

「靴をなくした天使」(1992年)米 Hero Accidental Hero
監督:スティーブン・フリアーズ   出演: ダスティン・ホフマン、アンディ・ガルシア、ジーナ・デイビス
墜落した燃えさかる飛行機から成り行きで人命救助をしたケチなコソ泥にホフマン、偶然この機に乗って、その行為に感動し彼をの残した片方の靴でその人物を探すレポーターにデイビス、名乗り出た男はガルシア、と「シンデレラ・ストーリーのようだが、ピリッとスパイスの効いたハートウォーミング・コメディ。ホフマンの冴えないパパぶりと嘘つき野郎のはずなのに憎めない本当は正直な男のガルシアが好演。

「リバー・ランズ・スルーイット」(1992年)米 A River Runs Through It
監督:ロバート・レッドフォード(当サイトでは、同じく監督作品の「声をかくす人」を紹介)
出演: ブラッド・ピット、グレイグ・シェーファー、エミリー・ロイド、トム・スケリット
今でこそ、大スターのブラピの名を世界に知らしめた作品と言っていいかも。ノーマン・マクリーンの原作。モンタナの田舎町を舞台に牧師の家庭に生まれた対照的な兄弟を描く。当時は出演者には大スターはおらず、内容も派手ではないし、レッドフォードの演出に媚もない。美しい映像が彼の丁寧な演出に重なって心に響く。日本公開当時は12館でのロードショーという単館扱いだった。独立系の小品には味わい深いいい作品があったりするので、私は好きだが、大作と言う感じではないので万人に受けるかどうかはかわらない。スターも出てないし、ということで単館扱いだったのかもしれないけど、結果的には大ヒット作となった。もちろん、レッドフォード似の端正な顔立ちのブラピがこの役にぴったりだったせいもあるだろうが、脚本と演出の力なくしては…と感じたのは私だけではないと思う。フライフィッシングのシーンは本当に美しい!

「ピーターズ・フレンズ」(1992年)英・米 Peter’s Friends
監督:ケネス・ブラナー   出演: スティーヴン・フライ、ケネス・ブラナー、エマ・トンプソン
大学時代の演劇部の仲間の10年後の再会を描いたもので、年末の3日間のお話。私はブラナーの作品はほとんどが気にいているので、どれも選びがたいけど、彼自身がかなり個人的な作品と言っているこの作品をここでは取り上げたい。確かにそんな雰囲気の漂う映画ではあるが、10年の変化と友情を考えたくなる1 本と言えると思う。30歳代前半を経験した人なら、共感あり、同情あり、異議ありだろうし、それ以前の人達にとっても今の自分と数年後の自分とに思いをはせるひとときとなるのではないだろうか。バックに流れる80年代ミュージックも私には懐かしい。

 

やっぱり男の戦い、アクションものだ!
「スピード」(1994年)米 Speed

監督:ヤン・デ・ボン   出演:キアヌ・リーヴス、サンドラ・ブロック、デニス・ホッパー
少し前、ツムラのCMで笑わせてくれたデニス・ホッパーの悪役ぶりと、とにかく走り回る髪を短く刈り込んだSWAT隊員のキアヌがかっこいい! 「ハートブルー」のFBI捜査官役で女性のハートを掴んだといわれるキアヌだが、ブラピよりもキアヌがご贔屓の私はこの硬派な感じの彼が好き。80キロ以下のスピードになると爆発するという路線バスの中でいかにして乗客を救うのか、犯人は逮捕できるのか。やっぱりハンサムなキアヌの活躍は注目。ちょっと男勝りなサンドラも彼女のイメージに合っていてとてもキュート。

「レザボア・ドッグス」(1993年)米 Reservoir Dogs
監督:クェンティン・タランティーノ   出演: ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、クリストファー・ペン
この映画を観たときの衝撃は、言葉では言い表せない。アクションものであり、犯罪ものではあるが、これまでのどの作品とも違うようで、かといって全く新しいと言うわけでもなく、でもひきつけずにはおかない強引さ。大量に血を流し、バンバン撃ちまくるシーンの連続で怪我人、死亡者続出は、女性向きの映画とは言えない。出演者もハンサム揃いという訳じゃないのだ。男の戦いを描く映画が基本的には好きな私は、この手の作品に弱い。いやいや暴力や犯罪をかっこいいと言っているのではない。全くその逆だ。私が惹かれるのは、どんな時でも必ずその勝敗を分けることになるであろう彼らの心理的な部分においての戦いだ。この映画は、ぎりぎりのところに追い詰められた男達のその緊張感や駆け引きの微妙なバランスを斬新な映像とともに見せてくれる。ただの映画オタクだと言われている監督の映画作りやセンスが私好みであることも、もちろんプラスに働いているが…。
女として俳優をチェックするなら、ダントツでティム・ロスがかっこいい。二番手はマイケル・マドセン。しばらく、彼らにはまった私だった。

「ダイ・ハード」(1989年)米 Die Hard
監督:ジョン・マクティアナン   出演: ブルース・ウィリス、アラン・リックマン、ボニー・ベデリア
このヒットを受けて、次々と続編作られてシリーズ化したが、やはり現シリーズ作品(続きは作られるのだろうか?)の中ではこれが一番面白いと思う。楽しいはずのクリスマス。別居中の妻と子に会うためにロスにある彼女の勤める日本企業の高層ビルを訪れる冴えない刑事が、武装したテロリストに占拠されたそのビルでたった一人で立ち向かうことになる。ブルース・ウィリスの冴えない中年刑事が、この事件を通して立ち直っていく姿がいい。悪と戦うスーパー・ヒーローではなかったことが、ヒットの要因とも言えるのではないか? とにかく限られた条件の中で諦めずに、ない知恵ふりしぼって傷だらけになりながら戦う様子は知らずに応援してしまう。

「リーサル・ウェポン」(1987年)米 Lethal Weapon
監督:リチャード・ドナー   出演: メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ゲーリー・ビジー
メルが国際スターとしての地位を確立した作品としてあげられているのが、この映画。既に「マッド・マックス」(青臭さの抜けきれていないメルだが、この彼もかっこいい!)で世界で知られてはいたが、確実に女性ファンを増やしたのはこの作品のシリーズ化のおかげじゃないかと私は思う。それまでもなかなか良い作品はあるのだが、日本での知名度はまだまだだった。この作品の合間に別の印象の映画にも出演して、じわじわとファンが増えた。「リーサル・ウェポン」シリーズはどれを観ても楽しいと思うが(まあ、彼が好きなのでひいき目もある)、やはり順番に見て、最愛の妻を失って自殺願望に取り付かれた刑事だったリッグスの立ち直っていく姿をアクション映画とは別の視点でチェックするのも楽しいかも。
追記:シリーズ4作目の「リーサル・ウェポン4」を掲載しています。

「ザ・シークレット・サービス」(1993年)米 IN THE LINE OF FIRE
監督:ウォルフガング・ぺーターゼン   出演: クリント・イーストウッド、レネ・ルッソ、ジョン・マルコビッチ、ディラン・マクダーモット
クリントが、かつてケネディ大統領を暗殺から守れなかったシークレット・サービスに扮して、今また大統領暗殺を企てる謎の暗殺者と戦うストーリー。その暗殺者役にはジョン・マルコビッチ。くせのあるクリントと互角の戦いを演技上でも披露してくれる。彼の七変化は見もの。花を添えるのはレネ・ルッソ。お色気シーンはないけど、とてもいい感じ。クリントの後輩役として若手のディラン・マクダーモット。この人がまたまた私好みだから、この映画は出演者だけでも嬉しいご贔屓映画。

 

映画はやっぱり青春もの
「フラッシュバック」(1990年)米 Flashback

監督:フランコ・アムーリ   出演:デニス・ホッパー、キーファー・サザーランド、キャロル・ケイン
今や時の人になったと言えるキーファー・サザーランド。この頃は、こんな風になるとは想像もつかなかったが、若い頃から彼を応援していた身としては嬉しいような寂しいような……。ここではヒッピーだった両親を嫌い、本名を捨てて都会で成功した優秀なFBI捜査官役。一方、デニスは元過激派で伝説的なヒッピー。その彼を護送する任務を受けた若き捜査官の心の成長をじっくりと、時に笑わせながら見せてくれる。

「ドラッグストア・カウボーイ」(1989年)米 Drugstore Cowboy
監督:ガス・ヴァン・サント   出演: マット・ディロン、ケリー・リンチ、ジェームズ・レグロス
ガス・ヴァン・サント監督は好き嫌いのはっきり出る監督ではないかと思う。私は割と好き。この作品は素人臭いカメラワークが特徴と評されていたが、そこが斬新な感じも……。「アウトサイダー」以来、アウトローな若者のイメージで大人へと脱皮が難しいと言われていたマット・ディロンの転機となった作品だ。全体的に退廃的な雰囲気で展開していく話の中で主人公が、どう変化したていったのか、CMのようなカットで見せる独特な感じは「マイ・プライベート・アイダホ」にも通じている。

 

とりあえずフランス映画も
「プロバンス物語・マルセルの夏」 1990年 仏 La Gloire De Mon Pere,My Father’s Glory
「プロバンス物語・マルセルの城」 1990年 仏 La Gloire De Mon Pere,My Mother’s Castle
監督:イーブ・ロベール   出演:フィリップ・コーベール、ナタリー・ルーセル、ジュリアン・シアマカ
この作品は、ほのぼのあったかい気持ちになれる作品。フランスの美しい片田舎の風景と中流階級の家庭の慎ましやかな生活が、主人公の少年時代の回想として描かれていて、少年期の繊細さや輝きといったものを感じさせてくれる。

「グラン・ブルー」 1992年 仏・伊 Le Grand Bleu
監督:リュック・ベッソン   出演:ジャン・マルク・ベール、ジャン・レノ、ロザンナ・アークウェット
この作品はストーリーが私好みではなかったので劇場では観なかったのだが、いざレンタルで観てみたら、これは海好きの者にはたまらない映画かな、と。私にとってはヒロインの主人公ジャックに対する愛が切なすぎて見ているのはつらかったが、ジャックの親友エンゾ役はいまやハリウッドでも活躍するジャン・レノ! 味のある俳優二人が見せる男の友情は泣かせる。とにかく海の映像は素晴らしい!

 

とにかく笑うコメディ
「ソープディッシュ」 1991年 米 Soapdish
監督:マイケル・ホフマン   出演:サリー・フィールド、ケヴィン・クライン、ウーピー・ゴールドバーグ、ロバート・ダウニー・Jr.、キャシー・モリアーティ
「ソープディッシュ」とは米国の昼メロのことらしい。このお話は、そのドラマに出演しているTV俳優達のドタバタコメディだ。劇中劇である昼メロの進行と同時に映画のストーリーも進む。見れば知っている、という役者が次々と登場し笑わせてくれる。事実は小説よりも奇なり、の言葉を思い出す作品だ。

「ターナー&フーチ/すてきな相棒」 1989年 米 Turner & Hooch
監督:ロジャー・スポティスウッド   出演:トム・ハンクス、メア・ウィニンガム、クレイグ・T・ネルソン
ちっとも可愛くないフーチという犬が飼い主を殺されて、その事件の担当者となった潔癖症というくらい清潔で几帳面な刑事ターナと共に犯人探しをする話。どんどん部屋を汚し暴れ回るフーチとそれに振り回されるターナーがおかしい。アカデミー賞を受賞し、一躍日本でも有名になったトムはシリアスドラマの演技派俳優の印象が定着しているが、本来はコメディ出身。コミカルな彼を楽しもう。

「マスク」 1994年 米 The Mask
監督:チャールズ・ラッセル   出演;ジム・キャリー、キャメロン・ディアス、ピーター・リガート
ジム・キャリーのコメディと言えば、「エース・ベンチュラ」と言う人もいるかもしれないけど、私はこの「マスク」が好き。見事な特撮と変幻自在のジムの顔の表情、そして、華麗なダンスステップがチェック。なかなかの二枚目俳優である彼の変な姿はミスマッチで笑える。ジムが演じる主人公が飼っている犬のマイロが可愛い! 犬好きにはたまりません。

 

文学作品もちょこっと紹介
「レ・ミゼラブル」 1998年 米 Les Miserables
監督:ビス・アウグスト   出演:リーアム・ニーソン、ジェフリー・ラッシュ、クレア・デーンズ、ウマ・サーマン
原作:ヴィクトル・ユーゴー
子供向けの全集にも入っているユーゴー原作の「レ・ミゼラブル」(「ああ無情」というタイトルの場合もあり)は、ここで紹介するまでもなく皆さんご存知のストーリー。本を読んでいなくてもミュージカルもヒットしたので知っている人は多いはず。映画化、ドラマ化も何度もされている。そんな中、今回気になるのはキャスト。メインの4人を日本でもよく知られた俳優が演じているので文学作品という堅いイメージのとっつきにくさもクリアできているのでは? 私自身は「シャイン」で一躍有名になったジェフリー・ラッシュが注目。日本であれだけ鮮烈なお目見えを果たした彼の別の役は、やはり見る側の興味を引かずにはいられないことと思う。

「鳩の翼」 1997年 英 The Wings Of The Dove
監督:イアン・ソフトリー   出演:ヘレナ・ボナム・カーター、ライナス・ローチ、アリソン・エリオット、シャーロット・ランプリング、エリザベス・マクガヴァン
原作:ヘンリー・ジェイムズ
私は原作は読んでいないのだが、一人の男性を巡る二人の女性の話となれば展開は想像がつくというもの。実は私はこういうドロドロものはあまり好きではないのだが、お目当てはただ一人ライナス・ローチ。友人に言わせれば、面食いの私らしいとの声が出てきそうだが、映画の出演がブレイクした「司祭」以来なかったことを考えるとファンとしては待ち望んだその姿。それゆえにそのお姿に釘付け。もう一人の注目はアリソン・エリオット。日本ではラックスのテレビCMで美しい髪を披露していた彼女ですが、映画では「この森で、天使はバスを降りた」が評判。私は未見ですが、要チェックかも。個人的には小さい役でしたが、「ワイアット・アープ」での若妻役がとても印象的で心に残った女優だ。

 

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