トリガー・エフェクト

The Trigger Effect 1996年 アメリカ作品
監督:デビッド・コープ
出演:カイル・マクラクレン(マシュー役)、エリザベス・シュー(アニー役)、ダーモット・マローニー(ジョー役)、ビル・スミトロビッチ(ステフ役)、マイケル・ルーカー(ゲーリー役)


テーマとしては現代の「電気」に頼った生活の恐ろしさを感じる作品であった。電気がストップしたら、こんなにも不便であることを痛感するものだ。便利さに慣れてしまった現代人がパニックに陥るさまをありありと描いている。冷静であることがいかに大変なことか、実際こうした危機に直面しなければ本当にはわからないのかもしれない。

その意外にも脆い現代の生活の危機感や人の理性を描くこのパニック映画の出演者は、なかなか豪華であるが、物足りなさも感じてしまう。冒頭から主人公夫婦のさめ始めていることを感じさせる関係。二人ともやる気なさげで投げやりな感じである。郊外に素敵な一戸建てを持ち(修繕中ではあるが)、車も持っていて何不自由ない生活。可愛い子供もいる。だが、その冷えた関係の理由や原因はこの物語の中では語られない。

ストーリーは停電がきっかけで強盗、殺人と事件がおき、危機を避けるために妻の実家へ行こうと車を走らせるが、その途中でもまた危険な目に遭う。そうして夫婦は再び絆を取り戻すのだ。

人は命の危険が迫ると本能がむき出しの理性を失った部分をさらけ出す反面、同じ危機の中で生き延びたい感情の中から絆も生まれるのだ(またはより強まる)とは思うのだが、その点の共感はあるのだが、この夫婦が妙に不自然な感じのする夫婦で二人に対しての共感は生まれてこない。ひきつけるものがないのだ。

残念ながら、パニック映画にしては、その恐ろしさが感じられないし、アクションものにしてはスリルとかスカッとする気分も足りない。かといって家族の危機から再生する物語としては主人公達の心の動きが描ききれていない中途半端なものになってしまっている。せっかく揃えた豪華俳優陣も彼らの個性が生かされていない感じも漂う。「リービング・ラスベガス」でアカデミー主演女優賞をとったエリザベス・シューもオスカー女優とは思えない役作りで非常に残念だ。(2013/04/23)

追記:サイト掲載当時は、「トリガー・エフェクト L.A大停電」というタイトルでしたが、現在は「トリガー・エフェクト」となっているようです。今回の更新で修正しました。(2019/07/11)