アザーズ

THE OTHERS 2001年 アメリカ、スペイン、フランス作品
監督:アレハンドロ・アメナーバル 出演:ニコール・キッドマン(グレース役)、フィオヌラ・フラナガン(ミセス・ミルズ役)、クリストファー・エクルストン(チャールズ役)、エレイン・キャシディ(リディア役)、エリック・サイクス(ミスター・タトル役)、アラキーナ・マン(グレースの娘アン役)、ジェームズ・ベントレー(グレースの息子ニコラス役)


トム・クルーズが制作総指揮に名を連ねているこの作品。当時は離婚問題でゴタゴタしていた頃か? そんな話題もありつつ、主演ニコールの美しさが話題になっていた作品だと記憶している。彼女がクール・ビューティーの代表とも言えるグレース・ケリーにそっくりだという話題だ(しかも役名もグレース!)。女性誌でも記事になっていたし、映画レビューでも取り上げられていた。映画の宣伝で使われていた写真は確かにグレースに似ていたかも知れない。髪型のせいもあるかもしれないけれど。グレースファンの私としては、そっくりだとは思わないし、残念ながらニコールは私の好きな女優の一人ではない。だから評価も厳しくなってしまうのかも知れない。

それでもグレース役のニコールは、評判通り美しかったし、きりっとした態度や姿が彼女のシンプルで上品な衣装にも、舞台となったお屋敷にも合っていてよかった。こうした映画やドラマの中に登場するイギリスのお屋敷にありがちな重厚な雰囲気、内装やインテリア、調度品の一つ一つに至るまできっちりとした様子、しかし古めかしく陰鬱な影も見せるちょっと怖い家の印象は漂っているものの、お屋敷の立派さ加減は半端ではない。それを観るのも楽しみの一つと言える。

だが内容は、大きなお屋敷で戦地に行った夫を病気の子供達とひたすら待っている妻の苦労を描く話ではなくホラーだ。その点で、先に公開されて大ヒットとなった「シックスセンス」とよく比較されたようだ。どちらも「霊」を扱っている点や、観る側に重苦しい雰囲気の中で恐怖心を次々と抱かせることや最後に明かされる大どんでん返しの真相など、似通った作り方のせいだろう。見比べてどっちがよかったか、という感想や話題もあったようだが、「似てはいても全く違う作品」というのが、私の感想だ。

どちらかと言えば、個人的には「シックスセンス」の方が私好みの作品と言えるかも知れない。もちろん、「アザーズ」の背景となる作品全編にあふれる英国クラシックな雰囲気は私の心をくすぐるが、内容はちょっと理解出来ず、私のツボにははまらなかった。どちらの作品も親子関係を描いた作品とも言えると思うのだが、「アザーズ」では、親子関係の修復という部分が見えてこなかった。

「シックスセンス」は、母も息子もお互いを思い合っているが、どちらもそれを上手く表現できず、すれ違っていた。ちょっとおかしな息子を理解出来ずに苦しむ母と、母を気遣い心配かけまいと霊が見えることを相談できずに自分を押さえ込む息子。その二人の気持ちが近づく様を霊を通して描き、同時に主人公の苦しみも癒される構成が観る側には驚きと安堵感をもたらした。

だが、「アザーズ」ではグレースは病気の子供達を守る母親だが、親子の間には情は感じられない。物語が展開する中のすべての要素がゴシックホラー調で怖さを醸し出すが、それがどう霊とつながるのか、そこが薄くて残念!(全部書くとネタバレになる上、映画の面白さも減るので、これ以上は書かないが)

最後に「光」は見えたのか、それも不明のままだ。私にはグレースが自分勝手な女性にしか見えなかった。夫の帰りを待つ妻の寂しさを通り越して心を病んでいくのもわからなくないが、子供達の存在はどうなるのだろう? 冒頭のシーンから想像できないラストでの展開は確かに意表付くどんでん返しと言えるが、何だか、だまされたような気分になったのも正直な気持ちだ。
さて、グレースの子供達、アンとニコラスには救いはあったのだろうか?(2012/07/14)

追記:よく比較されている「シックス・センス」もUPしてあります。タイトルをクリック

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