ガンジー

Gandhi 1982年 アメリカ作品
監督:リチャード・アッテンボロー
出演:ベン・キングスレー(ガンジー役)、キャンデイス・バーゲン(マーガレット役)、エドワード・フォックス(ダイヤー将軍)、ジョン・ギールグッド(アーウィン卿役)、トレバー・ハワード(ブルームフィールド判事役)、ジョン・ミルズ(総督役)、マーチン・シーン(ウォーカー役)


この映画はポール・ニューマンファンの私としては想い出深い映画。というのも、アカデミー賞でこの年、『評決』のポールがとても有望だと言われていて、『評決』を観た私も「今年こそ、ポールが主演男優賞を取るだろう」と思っていたのに蓋を開けてみたら『ガンジー』のベン・キングスレーが受賞したという逸話つきなのだから。

当時、この映画を観ていなかった私はくやしさのあまり、この映画をずっと観ずに過ごしてきました。それを随分とたってから、やっと観たわけです。そして、観てみたら、ガンジーそっくりのキングスレーの姿形や演技にアカデミー賞受賞もうなずける、と思ってしまいました。

英国の支配を受ける南アそして、インド。白人との差別をひどく受けているインド人の中で、有能な弁護士としてある程度優遇されていたガンジーも、ある日、インド人であることで差別を受けます。その現状に目覚めた彼は人々の平等を訴えるようになっていきます。英国政府と軍部を相手にしての非暴力抵抗。それに共感し、手助けにやってきた英国人牧師のチャーリーとの友情。そして、彼を支える妻との愛情。周囲に集まってくる人々とガンジーの平等への闘いと見所を盛り込んで3時間以上の大作を一気にみせます。

「やられてもやり返すな」という言葉は分かっていてもできない、それが一般人の思い。我慢の人生だと回顧するガンジーの老年の姿は何がそこまでさせたのか、そうすることが出来たのか考えさせられます。彼は宗教の違いなど問題にしていないし、暴力に対する暴力こそが悪だと言っています。許すことが出来ないのは哀しいことだとさえも。あがめる神が別で宗教は違っても、人はみな同じ、そしてそれは人種や肌の色の違いなど言うまでもないことだと。

人の生き方とは何か、あらためて考えてしまう映画です。ガンジーを訪れた人々もまた彼にあって、その人柄や考えに影響されていきます。カメラマンのマーガレット・バーク=ホワイト(当サイトの星樹館で取り上げています)、アメリカ人記者のウォーカー(マーチン・シーン)などなど。他人への影響力とは、その人がそうしようとしているのではなく、自然に生み出されてくるものと思えてきます。

人のためにすること、それは自分のためにもなることだと身を持って示してくれる彼の姿に何も感じない人はいないのではないでしょうか。もはや、「英雄」というくくりでは物足りない、そんな気さえしてくるガンジーの姿でした。(2000-08-01)

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