ハート・オブ・ビースト
2026年 HEART OF THE BEAST アメリカ・ニュージランド・カナダ作品
日本公開日: 2026/09/25
監督:デヴィッド・エアー
出演:ブラッド・ピット=ジェームズ役、J・K・シモンズ=ワトキンス役、アンナ・ラム=アンバー役、ジャーマンシェパード=オーディン役
久しぶりのブラッド・ピット主演映画。前回はいつ見たっけ?と調べたら、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」、2019年のロードショー。もう7年前でした(まだ感想、掲載してません。あしからず)。とは言え、プラピも近年は映画に出演というよりも製作で参加していることが多いようで、この作品の前は「F1/エフワン」。レースシーンが凄いとの評判のようですが、私は未見なので、久しぶりの感じがしてしまいました。
すでに予告編での映像で、私の中では「素晴らしい映画!」という思いはあっての観劇でしたが、これまた予想を超える素晴らしい出来栄えの作品だと見終わったあと感じています。もはや芸歴の長い俳優と言えるブラッド・ピット作品の中で私は若い頃の作品ばかりしか見ていないのですけれど、それでもこの作品が彼の代表作になるのでは?!と思うほど、ブラピは素晴らしかったと感じています。それもこれも共演した軍用犬オーディン役のジャーマンシェパードたち(4匹で演じたいたということなので)の素晴らしさも大いにあります。
監督のデビッド・エアーがインタビューでも答えていたようにブラッド・ピットのオーディンとの絆は演技だけではなく本物だったからなのでしょう。
若い頃のブラッドはとにかくハンサムで、ロバート・レッドフォードに似ている。彼の再来!と言われていましたが、それが逆にブラッドのマイナスになるのでは?と思える時もありました。ハンサムな好青年役からの脱皮は絶対的な課題でもあったと思います。
「ハンサムでステキな俳優」という立場だけで終わらないといいけど、と私もやや不安でもありました。それでその立ち位置から登ることが出来ずに過ごしてしまう俳優たち(女優たちも)がいるのがハリウッド。
そこから脱却したブラピは(プライベートでいろいろありつつ)、「あれ? こんなにすごい俳優だっけ?」、と今回実感したのも事実。
俳優の感想はがりになっていますが、この映画製作の大変さもスクリーンを見ていて大いに感じ取れます。けれど、それ以上に映画の中に入り込んでしまう、その惹きつける内容はスタッフの大変さもそれで報われるというものではないかと思います。
物語は、軍を退役して、おそらく雑踏から逃れるように大自然のアラスカへの休みに来て、オーディンと一緒にキャンプを楽しむはずが、悪天候になりそうだからと急いでテントを畳み、乗ってきた水上飛行機で飛び立ったものの、突然の心臓発作で不時着するはめになり、離れ離れになったオーディンを探して「大丈夫、一緒に家に帰ろう」と歩いての脱出となります。
ここで次々と出てくる便利グッズが、さすが元軍人、と驚くのですが、地図と磁石と定規だけで戻る道を探り、方角を見極めて進む様子を見て、やはり最後はアナログ、と妙に感心してしまった私。
映画タイトルの「ハート・オブ・ビースト」は魔の領域というこのアラスカの人を寄せつけない大自然の場所も指している言葉だということですが、こんな場所から人里までたどり着けるのか、見ている方はドキドキ、ハラハラしながら、ジェームズとオーディンを応援してしまう、この没入感は久しぶりに味わいました。
人と犬、人と大自然(気象も含め)、犬と他の野生生物、過去のトラウマと闘いながら生きる現在、生と死。すべてが対比でありながら、そのすべてが同じところにある(うまい表現が見つからず、すみません)、その無慈悲でありながらも現実を受け止めなければならない「生きる」ということは、この映画の中の状況だけでなく一人ひとりの生活の中にあるものでもありますよね。
ジェームズとオーディンの絆は上司と部下、仲間といった枠を越えて「家族」になっています。戦地で同じ苦しみを味わったからこそ、わかる気持ちもあるでしょうけれど、相手を思いやる気持ちが強いほど、力も出るし、「生」への思いも強い。それは人も犬も同じだと、伝わってきます。
映画は子供と犬には勝てない、と昔から言われてきたように、確かに今回も泣かされました。セリフの少ない、そしてほぼ全編で出ずっぱりのブラピの演技もすごかったけれど、オーディンの表情だけの演技は同じくらい、もしかしたら人間以上に素晴らしかった、と感じます。
エンディングでは実際に軍役に付いている犬たち、軍用犬の現実についてのコメントが流れました。忠実に命令に従い、仲間たちを助けるように訓練された彼らの残りの穏やかな人生を願うテロップは、まさしくこの映画の言いたかったことのひとつでもあるのでは、と思います。ジェームズの言葉にも、行動にも表れていました。
最後に、私の気になったこと、それはこの魔境のような大自然からの脱出劇になる前の、のんびりシーンの中のひとつ。川でジャームズがフライフィッシングをする場面。
これ、ブラピファンへのサービスかも? と。このシーンでは「リバー・ランズ・スルー・イット」でブラッドが演じたポールを思い起こさせました。これでブラピファンになった人も多いんだろうなあ、と今も思います。(2026/10/23)
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