2018年7月公開のチェック映画

子どもが教えてくれたこと (ET LES MISTRALS GAGNANTS/EVERYDAY HEROES) 
2016年仏作品 日本公開2018年7月14日

濡れた砂の上の小さな足跡今月は夏休みに入ることもあって、大作、アクション、ホラー、コメディと様々な話題作が揃っているとも言える。とは言え、やや小ぶり感も感じられてしまうのは何故か? 映画界も劇場からシネコンへと変化して、作品も同様の展開へとなったのかなあ、などと思うこともままある。お金もかかってるし、リアル感も凄いのに超大作とは言えないかも?なんて感じてしまうのだ。スターがいなくなったせいもあるかもしれない。
それはさておき、今月公開作品の中で注目していた女性が主人公の映画は、二つの実話を基にした作品、「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」と「悲しみに、こんにちは」。前者はテニスファンならずともその名前くらいはしっているであろうテニスプレーヤー、キング夫人の話。後者のスペイン映画は両親を亡くした少女が養父母となる叔父夫婦の元で過ごす夏の話だ。私的にはどちらもそれぞれに興味深い見たい作品ではあるが、今回はあえてドキュメンタリー作品の「子どもが教えてくれたこと」をピックアップしたい。
というのも、先月、とある雑誌でこの作品について書いている記事を読んだからだ。筆者は聖路加国際病院の小児科の医師でもある細谷亮太先生。この作品についてご自身の体験も踏まえて小児医療の問題や悩める母親たちへの助言を書かれていた。あれこれと急に具合が悪くなる 男子の母親として私はそれなりに様々な小児科医の先生と会ったが、細谷先生は私が本当に信頼を寄せる医師の一人だ(息子が診てもらったは一度だけだが)。
エッセイには小児科医としてのご苦労も書かれていたが、以前、当サイトで書いていた育児日記でも書いたように「ER 緊急救急救命室」のロス先生ような人にはなかなか巡り会えない。小児医療は大人とはまた違う問題を抱えていると痛感することたびたびであった。
ここでその医療問題を説いても脱線するだけなので書かないが、この「子供が教えてくれたこと」は、おそらく題材としては重いものだろう。限られた命を生きる難病の子供たちの日常を撮影したものなのだ。それは短い命を生きる子供たちの辛さだけでなく、家族も、その中でおそらくは母親の言葉に出来ない辛さをも見えてくるのだろうと想像できる。どんな病気なのか、病名を聞いても説明を受けても大人でさえ簡単に理解したり、受け止めたりすることは難しいであろう自分の病気のことを子供たちが自分の言葉で語る場面をどんな思いで監督は撮影したのか。
そのアンヌ=ドフィーヌ・ジュリアン監督自身も母親として同じ体験をし、あえてこうしたドキュメンタリーを撮ろうと決意したという。きっと子を失う母親の気持ちは体験しないとわからないくらい悲しいだろうと思う。悲しいという言葉すら陳腐に聞こえるほど。幸い私自身には経験がないので、わかろうはずもない。我が子(娘、しかも二人も!)との限られた時間で幼い我が子に教えられた「生きること」を彼女は伝えたかったのだろうと公式サイトを見ていても、予告編を見ていても感じることが出来る。
たまにこのサイトに登場している私の友人は、少し前に「生きる意味なんて考えない方がいいのかも」とぽつりと言っていた。私もそう思うときがある。でも、ただ生きているだけなんて、やはり思いたくない。一人ひとりがそれぞれの、誰とも違う人生を生きるのには何か意味がある。多分、みんな誰かのため、誰かを救っていると信じたい。それを垣間見ることが出来そうな気がして、この作品を選んだ。ちなみに、細谷先生のエッセイでは「告知」についてのことも書かれていた。病名を患者に告げる難しさやタイミング、そのことで随分悩まれたことも。それは患者が子供ではなく大人の場合も同じだろう。海外では本当の病名を告げて病気の説明をするのだという。日本ではドラマを見ていても、辛すぎるから本人には告げずにいよう、と話しているシーンがよくあるし、現実もきっとそうなんだろうと想像できる(私は自分、家族にかかわらずこの場面にはまだ直面したことがない)。それは人それぞれに考え方があるし、状況も違うのでどっちが正しいとは言えないけど、私なら絶対に告知して欲しいなあ、と思う。苦しくても残りの人生を自分で満足できる時間にしたいから。きっとこの映画の子供たちもそう思っていたに違いないと勝手な想像だが私は思う。是非、ロードショーを見に行って確かめたい作品だ。
東京ではシネスイッチ銀座で公開。7月18日(水)の12時50分の上映会では細谷先生がゲスト、とある。あ~、見に行きたいけど、残念ながら無理かなあ。(2018/7/14)

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