ヘアスプレー

Hairspray 2007年 アメリカ作品
監督:アダム・シャンクマン
脚本:レスリー・ディクソン オリジナル脚本:ジョン・ウォーターズ(1988年映画版)、マーク・オドネル(ミュージカル版)
出演:ジョン・トラヴォルタ(エドナ・ターンブラッド役)、ニッキー・ブロンスキー(トレーシー・ターンブラッド役)、ミシェル・ファイファー(ベルマ・フォン・タッスル役)、クリストファー・ウォーケン(ウィルバー・ターンブラッド役)、クイーン・ラティファ(モーターマウス・メイベル役)、ザック・エフロン(リンク・ラーキン役)、ブリタニー・スノウ (アンバー・フォン・タッスル役)、アマンダ・バインズ(ペニー・ピングルトン役)、ジェームズ・マースデン(コーニー・コリンズ役)


舞台は1960年代で、アメリカでは差別や偏見が激しかった頃で、当然ストーリーの中にもそうしたエッセンスは盛り込まれているが、人種差別を全面に押し出した作品ではなく、何とも楽しいミュージカル! やはり、この作品は一人の女の子が自分の好きなことを貫くことで周囲を変えていく成長物語と言えるだろう。

久々にミュージカル映画に出演のジョン・トラボルタがヒロインの母親役として特殊メイクで出演したのも話題になった。そのトラボルタが演じるママ、エドナは太ってしまったことがコンプレックスとなり外に出るのが怖くなってしまい、何もかもに消極的。夫であるウィルバーを演じるのはクリストファー・ウォーケン。やはり見た目は怖いけど、真面目が取り柄のパパ。外出を怖がる妻を気遣う優しい人だ。

そして、一人娘のトレーシー。ヒロインである彼女はママに似てちょっとぽっちゃりだけど、明るくて前向きで、何より踊ることが大好きな高校生。演じているのはオーディションで選ばれたという新人のニッキー・ブロンスキー。キュートな姿を画面いっぱいに見せてくれる。彼女がいつも楽しみにしているテレビ番組は『コーニー・コリンズ・ショー』。かっこいい番組ホストのコーニーだけじゃなく、学校でも人気者のハンサムなリンクも出演している。コーニーを演じるのはジェームズ・マースデン。リンクは人気の二枚目俳優ザック・エフロン。

番組制作に関わるベルマにはミシェル・ファイファー。久しぶりに歌と踊りを披露。これだけでも観たくなる映画だが、何よりこの作品を楽しくしているのは、ヒロイン役のニッキー・ブロンスキーの魅力に負うところが大きいと思う。

人種差別が当たり前のように生活の中にあり、それを破ることなど考えられなかった時代を背景に、「新しいもの」を受け入れることが難しい事実(いろんな面で、多くの人が)が、トレーシーの好きなことへのチャレンジとまっすぐで前向きな考えと共に描かれている。多くの人は新しいこと、違うことを受け入れられない。また、エドナも若い頃の面影が全くない今の自分の姿に自信をなくし、すっかり後ろ向き。トレーシー同様に歌や踊りは大好きなのに太った醜い中年女は駄目、と自らを卑下し、優しい夫に頼り切り。

このエドナ役のトラボルタの特殊メイクをした姿でのダンスシーンは、さすがうならせる。そんな彼女も『コーニー・コリンズ・ショー』のオーディションにチャレンジする娘を応援しつつ、娘によって再び前を向くことを思い出すのだ。

自分が正しいと信じることを貫く強さは、トレーシーが高校生であるという設定から若さ故とも取れるかもしれない。人は大人になるにつれ周囲と自分を合わせていくことが無難に傷つかず生きる術だと知ってしまうからだ。それでもトレーシーなら、ずっとこの時の気持ちを忘れずにいられると信じたくなるそんな芯の強さを見せてくれた。実際の世の中では、自分を通すことは摩擦を生み、トラブルの原因となることも少なからずあるだろう。だから、人は本音を語らない。その他大勢でいることに甘んじている。それも自分を守る手段だと私もわかる。でも、ちょっと寂しいよね、素の自分を出せないことは…。そんなことはないんだろうか? とふと思ってしまった。

ストーリーの展開はラストにトレーシー達が意地悪なベルマの美人の娘アンバー達に仕返しして、ベルマ達の言いなりの番組になってしまった『コーニー・コリンズ・ショー』を取り戻す内容もあり、重いテーマだけで終わっていないのもミュージカルとして楽しく観ることが出来る要因だろう。また、二人のイケメン(私には何といってもザックよりジェームズだが)のダンスシーン、何より”あの”クリストファー・ウォーケンとトラボルタのダンスシーンは必見。これだけでも一見の価値あり映画かも?! もちろん、ミシェル・ファイファーの歌と踊りも見所だ。(2012/09/12)

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